7月16日、アメリカのバイデン大統領は、サウジアラビアを訪問し、湾岸協力会議(GCC)と周辺国の計9か国による首脳会合に参加しました。
この会合の中で原油の増産を期待する発言をしています。
これは、ロシアのウクライナ侵攻などの影響を受けて世界的に高騰した原油価格の抑制に対応するための発言です。
8月3日には「OPECプラス」の閣僚級会議が開かれる予定なので、このバイデン氏の発言を受けて原油の増産が行われるかどうかということに注目が集まっています。
ところで、このニュースで「OPEC(石油輸出国機構)」ではなく、「OPECプラス」という名前が出てきました。
このOPECプラスとはどんなもので、加盟国はどうなっているのでしょう?
OPECプラスの加盟国
まず、現在のOPEC(石油輸出国機構)の加盟国を確認しましょう。
- イラク
- イラン
- クウェート
- サウジアラビア
- ベネズエラ
- リビア
- UAE
- アルジェリア
- ナイジェリア
- アンゴラ
- ガボン
- 赤道ギニア
- コンゴ共和国
これらの国々が現在のOPECの加盟国です。
設立当初は、イラン・イラク・クウェート・サウジアラビア・ベネズエラの5カ国でしたが、その後13カ国まで増えています。
OPECプラスには、上記の13カ国に加え、以下の11カ国が加わります。
- アゼルバイジャン
- オマーン
- カザフスタン
- スーダン
- バーレーン
- フィリピン
- ブルネイ
- マレーシア
- 南スーダン
- メキシコ
- ロシア
2016年にOPECと、「産油国ではあるが非加盟国だった国々」が協定を結びました。
これがOPECプラスです。
OPECプラスはなんのためにつくられた?
まず前提として、OPECは「石油輸出国の利益を守ること」を目的としてつくられています。
第二次世界大戦後、アメリカやイギリスなどの企業が油田の権利を独占し莫大な利益を上げる一方、その油田を所持する産油国への配分は乏しいものでした。
自分たちの国から産出される資源を外国の企業に横取りされることを防ぐために結成されたのがOPECです。
OPECは次第に力をつけていき、第1次石油危機(1973年)ごろにはついに石油価格の決定権を勝ち取ります。
以降、時代によってその強弱は違うものの、石油価格に関してはOPECが大きな影響力を保ってきました。
しかし、2014年にアメリカで「シェールガス革命」が起こります。
これは簡単に言うと、アメリカなどの今まで取れなかった場所から多くの石油や天然ガスが産出されるようになったということです。
これにより、世界のエネルギー事情が大きく変わりました。
石油価格など、エネルギーに関するアメリカの影響力が上がり、相対的にOPECの影響力は小さくなっていきます。
この状況に危機感を覚えたOPECは、非加盟国だった11の国々と協定を結びます。
これが「OPECプラス」と呼ばれるようになりました。
最初に協定を結んだのが2016年11月のこと。
2019年7月からはOPECプラスは常設化され、2022年現在も会合が開かれています。