台湾問題とは簡単に言うと、「台湾がどの国のものなのか?」を争う問題のことです。
非常に複雑な問題なため以下要点をかいつまんで解説します。
台湾問題をわかりやすく言うと
中華人民共和国と中華民国の間で「台湾がどちらのものなのかを取り合っている状態」、これが台湾問題です。
中華人民共和国はいわゆる中国のこと、中華民国が今の台湾政府のことです。
この2つの勢力が台湾、さらにはどちらが本物の中国政府なのかということを巡って対立を続けています。
台湾の歴史
~大航海時代まで
台湾にもともと住んでいた原住民の人々は国家を形成することなく部族ごとに分かれて暮らしていました。
この原住民の人々は文字を持たなかったため、詳しい記録は残っていません。
時代は進んで大航海時代になると、スペインやオランダがそれぞれ台湾の一部を占領します。
次第にオランダの勢力が強くなり、スペインは台湾から撤退します。
そしてオランダの「東インド会社」が台湾を東アジアの拠点とし、中国本土から大量の移民を集め労働力として土地の開墾を進めました。
その後、中国で「清王朝」に敗れた「明王朝」の関係者が、清の打倒を掲げて台湾に入ってきます。
彼らはオランダ人を追放することに成功し、台湾を拠点として清と戦います。
この戦いに勝ったのは清で、台湾は清王朝の支配下に入ることとなりました。
清王朝~日本による支配の時代
清王朝は台湾を支配することになりましたが、清側から見れば台湾は元敵の拠点です。
そのため統治に関しては消極的で、島内全土には支配が及ばず、半ばほったらかしの状態だったとされています。
このことをもって、台湾独立派からは「歴史的に中国による台湾支配はされていない」との主張がなされています。
その後、清と日本との間で日清戦争が勃発します。
この戦いには日本が勝利し、下関条約によって台湾は日本の占領下に入ることになります。
第二次世界大戦後
第二次世界大戦で日本が敗北すると、台湾は「清」の後を継いだ「中華民国」に返還されました。
なお、この時の平和条約では、「日本が台湾の領有権を放棄する」とだけ決められていて、権利を誰に返すのかというのが明確に決められていませんでした。
中華民国はそのころ、国内で内戦が行われていました。
この時、中華民国と戦っていたのは、中国人民解放軍(中国共産党)です。
始めは中華民国の政府が優勢でしたが、徐々に中国共産党が優位に立つようになります。
そしてついに中国共産党は中国大陸の大部分を支配し、中華人民共和国の建国を宣言するに至ります。
追い詰められた中華民国政府は、台湾へ撤退し、そこを拠点としました。
2つの勢力が本格的にぶつかり合う前に、朝鮮戦争が勃発し、中華人民共和国は台湾への進行をストップします。
その後、何度か中華人民共和国による台湾への攻撃が行われましたが、決着はつかないまま今日に至っています。
中華人民共和国と中華民国
中華人民共和国は台湾は自国の領土として認識しており、台湾の現在の政府を「崩壊した前政府の一部の者が不法占拠して樹立した非正当な政府」としています。
他方、中華民国(台湾)側は、台湾に移転した後も中華民国は滅んでおらず、中国の正当な政府であるとの認識を示しております。
そのため、台湾は現在においても「中華人民共和国」を正式に承認していません。
現在では中国による台湾への対応は、武力による制圧から和平交渉へとシフトしています。
しかし、問題が解決したわけではありません。
お互いが「中国」の正当な政府であるという主張が噛み合っていないからです。
今の所、お互い平和的に接しているようですが、「内戦状態が終わっていない」これが台湾問題の本質です。