一定以上の年齢なら誰でも投票できるのが「普通選挙」
現在、日本では18歳以上なら誰でも選挙で投票することが出来ます。
男性でも女性でも税金を収めた額に関係なく、国政に関与することが出来ます。
年齢以外の制限がない選挙のことを「普通選挙」といいます。
この様な普通選挙が実現するまでには、様々な段階を経た歴史があります。
日本初の国政選挙は1890年
大政奉還以後の明治政府による政治は藩閥政治といって、薩長土肥などの有力藩出身の有識者たちが集まって政治を執り行っていました。
海外視察などを繰り返した明治政府は、憲法をつくり近代的な国家にならなければ、世界の国々と渡り合えないことを痛感します。
近代化を推し進める中で、「国民が政治に参加する」という今まで日本にはなかった考えが広まります。
「官僚による政治ではなく、国民によって選ばれた議員が政治を行う」必要性を訴える「自由民権運動」が全国各地で盛り上がります。
これを受け、明治政府は議会の開設を決定。
大日本帝国憲法のもと、国会の仕組みが作られました。
当初の国会は衆議院と貴族院の二院制で、衆議院議員の選挙に限り国民の参政権が認められます。
1890年に初めての国政選挙が行われましたが、当時の選挙権は「15円以上の直接税を納めている25歳以上の男子」のみに与えられました。
これは、男尊女卑社会真っ只中の当時の日本では「国の大事は女性には任せられない」とされ、また、「国を動かすためには税金が必要で、税金を納めていない人が政治に参加するのはおかしい」と考えられていたためです。
最初の選挙で投票できたとされる有権者数は全人口のわずか1%ほどです。
1925年に男子普通選挙開始
日本で始まった選挙制度は、年齢以外の制限がある「制限選挙」でした。
制限選挙は何も日本に限ったことではなく、世界中で見られる現象です。
現在でもイスラム圏では女性に選挙権がない国もあります。
日本ではその後、納税額の要件が引き下げられ、普通選挙を求める声が強くなり、1925年(大正14年)に25歳以上の男子全員に選挙権が認められます。
1928年に実際に選挙が行われ、「男子普通選挙」が実現しました。
このときの有権者数は、全人口の20%ほどでした。
現在のような普通選挙は第二次世界大戦後
1920年代になると、女性にも参政権を求める動きが活発になっていきます。
ですが、結局大日本帝国憲法下では女性に参政権が認められることはありませんでした。
第二次世界大戦後、新たに制定された日本国憲法のもと「20歳以上であれば誰でも投票できる」という普通選挙が実現します。
現在では選挙権が与えられる年齢が18歳に引き下げられ、18歳以上であれば誰でも選挙で投票できます。
選挙権があるのが当たり前の時代に生まれた我々は生まれました。
権利を行使することなく投票を放棄する人も多くいます。
投票を放棄することによって意志を示すという考え方も確かにありますが、これだけの長い時間をかけて様々な人が努力を重ねた結果、今日私達が何の制限もなく国政に関わることができるということは忘れないで欲しいと思います。