鎌倉殿の13人の第29話「ままならぬ玉」のあらすじです。
なお、この記事の内容はネタバレを含みます。
事前に内容を知りたくない方は、適宜読み飛ばして下さい。
目次
鎌倉殿の13人 第29話「ままならぬ玉」のあらすじ
7月31日放送の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第29話「ままならぬ玉」のあらすじです。
前回、第28話「名刀の主」は、梶原景時が善児を北条義時に譲り、京へ向かうシーンで終わりました。
北条義時は、息子の北条頼時に対し「すぐに兵を整えよ」という命令を下します。
梶原景時が武士らしく戦で死ねるように、東海道で討ち取るつもりでした。
第29話「ままならぬ玉」はこの続きから始まります。
十三人の合議制崩壊
梶原景時が討ち死にしました。
その3日後、三浦義澄が息を引き取ります。
後を追うように安達盛長も亡くなります。
出家して抜けた中原親能を含め、13人いた宿老は一年足らずで9人にまで減ります。
これにより頼家への抑止力は弱まります。
源頼家:「これからは好きにやらせてもらう」
乳母夫として支援しようとする比企能員に対し、頼家が言い放ちました。
源頼家の跡継ぎを巡る争い
1200年、頼家の正妻・つつじが男子を産みます。
その子は善哉(ざんざい)と名付けられ、三浦義村が乳母夫に任じられました。
頼家の跡継ぎを巡って御家人たちが色めき立ちます。
比企能員が北条義時をつかまえて牽制します。
能員:「跡継ぎは一幡様だからな」
義時:「されど頼朝様のご意向は、つつじ殿のお子が男の場合には」
能員:「文書に記されておらぬではないか」
能員は痛いところをつきます。
一方、北条でも時政とりくが跡継ぎの話をしています。
跡継ぎが一幡でも善哉でも北条家の得にはなりません。
そこで、りくがひらめきます。
りく:「千幡ですよ。頼家様の弟君、今年で9歳。母は政子。乳母夫は実衣と全成殿。申し分なし。」
全成の呪詛
千幡を跡継ぎに推すことを決めた時政とりくは阿野全成を呼びます。
北条のために呪詛をして欲しいと頼みこみました。
全成:「誰を呪うのですか?」
時政:「比企能員」
りく:「いいえ、鎌倉殿」
時政は驚き、全成が動揺します。
りく:「もちろん、命を取ろうとは思っていません。しばらく病で伏せっていただければよいのです。」
源頼家と北条頼時の不和
場面変わって、1201年。
坂東は台風による大きな被害を受け、百姓たちは不作に苦しんでいました。
何の対策もせず、蹴鞠に興じる頼家に北条頼時が進言します。
頼時:「ほかにやることがあるのではないでしょうか?」
頼家は気分を害したようで
頼家:「遊びではない!」
と切り返します。
北条時連がその様子をひやひやしながら見守っていました。
その夜、義時は頼時に伊豆へ行くように命じました。
その頃伊豆では、凶作にあえぐ百姓が土地を捨てて逃げる事案が多発していました。
義時:「これを収めてこい。なんとかせよ。」
自信なさそうな頼時を時連が説得します。
頼時:「…なんとかします。」
渋々伊豆へ向かった頼時を時連が見送りました。
時連:「頼時は鎌倉殿の側にいない方がいい」「諫めるだけでなく、分かって差し上げることも大事です。」
せつの苦悩
能員:「大将軍の職にないと、御家人たちがついてこぬわ」
比企能員は一日でも早く、頼家を征夷大将軍に就任させることに躍起になっています。
梶原景時の死後、頼家の所業には目に余るものがあります。
これでは御家人たちを敵に回しかねません。
その一方で、頼家はつつじの居室に入り浸り、善哉と過ごす時間が多くなっています。
比企能員の娘で、頼家の側女のせつは、跡継ぎは自分の子の一幡でも、つつじの子の善哉でも、どちらでもよいと思っています。
しかし、頼家と過ごす時間が減ったこともあり、もっと頼家と向き合い心を通わせたいと願っていました。
せつはこのことを比奈に相談しました。
比奈はせつを政子のもとへ連れて行きます。
政子は昔を思い出し、せつに助言します。
政子:「頼朝様は幼い頃より苦労されて、生涯、人を信じるということをなさらない方でした。いっそ思っていることをぶつけてみては?」
政子の助言を受け、せつは自信はないものの、一途に慕う気持ちを憚らずに表せば、頼家も心を開くかもしれないと、思いの丈をぶつける決心を固めます。
「北条泰時」誕生
伊豆に着いた時頼と鶴丸は、大勢の百姓と代官を前にしていました。
代官は、百姓に貸した米が期日を過ぎても返されないことを不満に思っています。
一方の百姓達は、返したくても不作で米は一粒もないと必死で訴えます。
頼時は頭を抱え、鶴丸と小言で相談しました。
その後、頼時は意を決し、「代官が百姓に米を貸したとする証文」を一同の前で破り捨てます。
頼時:「代わりに鎌倉から米を届けさせよう」
百姓が代官に借りた米を、自分たちが肩代わりするという采配をとりました。
さらに、百姓たちにも米を与える約束をします。
この頼時の裁定が評判となりました。
これを聞いた頼家は、鎌倉に戻った頼時に褒美を与えることにします。
征夷大将軍を間近にした頼家と同じ「頼」の字を持っていっては苦しいだろうと、褒美に頼時に新しい名前をつけました。
頼家:「泰時。泰は天下泰平の泰。」
頼時は不本意ながら(※「頼」の字は、頼朝の「頼」でもありました。)、褒美とあっては受け取らないわけにはいきません。
さらなる精進を約束すると、頼家がはねつけます。
頼家:「お前はうるさい。父のもとで励め、泰時。」
阿野全成の不穏な動き
時政とりくに呪詛を頼まれた阿野全成は、木人形を作り、部屋に籠もって一心不乱に呪文を唱えています。
妻の実衣は何事かと部屋を除きますが、それだけで叱られます。
鎌倉殿になるかどうかというあの一件依頼、夫婦の間には隙間風が吹いており、実衣は不審と心配でいっぱいでした。
思い余った実衣は、義時に相談します。
義時は捨て置けぬ話だと思い、時政とりくに訪ねます。
義時:「全成殿は呪詛をかけているのでは?」
時政:「誰に?」
と、とぼけますが、すぐにボロを出してしまいます。
時政:「ばかいえ、鎌倉殿はわしの孫だぞ?」
義時は呪詛をやめるように強く求めました。
源頼家の征夷大将軍就任
頼家は、折に触れ意見してくる北条も比企も煩わしく思っています。
善哉に癒やしを求めようとすると、途中にせつが待っていました。
せつ:「嫡男は善哉様で結構。私はただ、あなた様とお話がしたいのです。私と一幡をおそばに置いてほしいのです。鎌倉殿をお支えしとうございます。」
このままでは頼家は一人ぼっちになってしまう、せつは胸の思いをまっすぐに投げかけました。
1202年7月。
頼家は征夷大将軍に任官しました。
頼家の決意
時政とりくは、呪詛の効果が無かったと全成を責め立てます。
全成:「鎌倉殿の髪の毛を手に入れてきます。」
次なる手段を取るために、裏庭に潜んで蹴鞠をしている頼家の様子を伺います。
そこへ義時がやってきました。(※全成には気づいていません。)
頼家:「鞠を蹴っている間は、心が落ち着く。」
頼家は歩み寄ってくる義時に鞠を渡しました。
義時は鞠を蹴ってみますがなかなか難しい。
義時のぎこちない動きを見て、助言をしながら頼家は生前の父・頼朝を思い出します。
頼朝は蹴鞠が得意だったはずなのに、一度も頼家に教えようとはしませんでした。
義時は鞠を頼家に返します。
義時:「頼朝様は人を信じることをなさらなかった。お父上を超えたいなら、人を信じることから始めてはいかがでしょう?」
そこへ蹴鞠の指南役である平知康が来て、二人の話が終わるのを待とうと、古井戸のへりに腰掛けます。
頼家:「わしは、一幡を跡継ぎにする」
せつの思いが、頼家に決意をさせていました。
頼家:「父上が母上と手を携えてこの鎌倉を作ったように、せつとなら鎌倉をまとめていけるような気がする。私は弱い。信じてくれる者を頼りたい。」
親族の絆と暗雲
胸のつかえが下りた頼家は、もう蹴鞠には逃げないと言い、平知康に向かって鞠を蹴りました。
知康は鞠を受け取ったものの、体制を崩して古井戸に落ちてしまいます。
縄を垂らし、頼家と義時で力を合わせて知康を引き上げようとしますが、知康がもがき、頼家までもが古井戸に引きずられます。
二人が握っている縄を義時一人で引きますが、今にも擦り切れてしまいそうです。
そこへ、全成が駆けつけ、井戸の中に半身を入れて手を伸ばします。
全成:「さあ、つかんで!さあ!」
頼家は引き上げられ、続いて知康も助け出されました。
頼家:「叔父上がいてくださって、命拾いしました。」
礼を述べ、改めて全成を見ると、頼朝に似ていることに気づきました。
頼家:「まるで父と話しているようです。」
照れる頼家を全成は温かい眼差しで見つめます。
その後、全成は帰宅し、実衣に木人形を見せて呪詛の依頼を受けた理由を話します。
全成:「お前の喜ぶ顔が見たかった。千幡が鎌倉殿になれば、私達の立場も上がる。お前にも少しはいい思いをさせてやれる。」
実衣はあきれながらも、呪詛の効き目がなくて安堵している全成の手を両手で包み込みました。
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夜が明けます。
御所の庭には薄明かりがさしています。
その薄明かりに照らされ、床下に一体、回収し忘れていった木人形の姿が浮かび上がります。
第30話へ続きます。