このところ、ガソリンの価格が高騰しています。
原油価格が高騰していることが主な原因のようですが、そもそも日本ではガソリンに税金がかけられすぎているのではないかという声も聞かれます。
いわゆるガソリンの二重課税の問題です。
二重課税とは?
「二重課税」とは「1つの課税原因に対して同種の租税が2回以上かけられること」、あるいは「物やサービスなどに2つ以上の税金がかかっていること」を意味します。
この二重課税にあたる課税も立法政策上の問題であり、二重課税がされているからといって、そのことだけをもって直ちに憲法違反とはなりません。
現在、ガソリンには揮発油税と地方揮発油税(※2つをあわせてガソリン税と呼ばれる)が課せられ、さらに消費税がかかります。
2つどころか3種類の税金がかけられています。
ガソリンの二重課税の問題は、「ガソリンの本体価格にガソリン税を足した金額に対して消費税がかかる」ことにあります。
税金に対して課税しているわけですから、かなり不自然な状態です。
ガソリンにかかる税金の内訳と税額
2021年現在、ガソリン1リットルあたりにつき揮発油税が48.6円、地方揮発油税が5.2円かけられています。
つまり、ガソリン1リットルあたりの価格のうち、53.8円がガソリン税です。
しかもガソリン本体の価格にこの53.8円を加えた価格に対して消費税がかかっています。
内訳の詳細を説明するために、ちょっと例を出します。
車に給油した後のレシートを見ていると想像して下さい。
仮にそのレシートに書いてある1リットルあたりの税込み価格が160円だったとします。
この場合のガソリン本体の価格は約91.7円です。
それにガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)が53.8円加えられ、その合計額145.5円に消費税10%がかかって160.05円、端数処理で160円というふうになります。
ということはこの場合、160(合計金額)-91.7(ガソリン本体価格)で68.3円。
160円のうち、68.3円は税金ということです。
全体価格の約42%が税金とは少しとりすぎではないでしょうか?
また、そもそもの話として「商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税」が消費税です。
揮発油税や地方揮発油税は、商品でもないし、サービスでもありません。
国が強制的に徴収できる税金です。
これらの税金に対して消費税をかけていること自体が、かなりおかしな状態であると言えます。
暫定措置の問題
税金に消費税をかけているのも、ガソリン税の大きな問題の1つですが、もう1つガソリン税には問題点があります。
この53.8円のうち約半分にあたる25.1円は暫定税率とされています。
暫定税率とはその名の通り暫定的に定められた税率のことです。
つまり、「財源が足りないから、とりあえず期間を区切って増税します」というふうに決められた税率です。
具体的には1973年から始まった「道路整備五ヵ年計画」の財源不足に対応するために、1974年度から暫定的にガソリン税を増税しました。
その増税が今でも残っています。
厳密にはずっと続いていたわけではなく、途中期限切れになったり、増税の理由を変えたりしていますが、もともとは5年間もすれば終わる予定だった増税が未だに続いています。
これが暫定税率の問題です。
ガソリン税だけに限りませんが、税金は一度上がると下がることはめったにありません。
日露戦争の財源にするために始まった登録免許税という税金は、日露戦争が終わって110年以上経った今でも課税され続けています。
消費税も3%→5%→8%→10%とじわじわあがっておきながら、一時的にでも減税されたことはありません。
税収を減らすことによって不都合があるなら、国民に説明して納得させればいいだけです。
それをせず、増税をこっそり続けるようなやり方をすると、どうしても税金が適正に使われているのかどうか疑ってしまいます。