防衛省の発表によると、5月3日から5日間連続で中国の空母「遼寧(りょうねい)」が沖縄南方で戦闘機などの発着艦を行ったとのことです。
この発着艦は、日本の領海外で行われているため、今のところは問題になっていませんが、もし仮に日本の領海内で同じことが行われた場合、領空侵犯となります。
このことで注目されている遼寧という空母は一体どのような軍艦なのでしょう?
遼寧という空母はウクライナから購入
遼寧という空母は、ソ連が設計した「ヴァリャーグ」という空母の未完成の艦体を中国がウクライナから購入して、後に中国が完成させた空母です。
ウクライナから購入していますが、途中まで建造したのはソビエト連邦です。
ソ連政府の計画により、ウクライナの黒海造船工場というところでこの空母は造られていました。
しかし、その途中でソ連は崩壊。
未完成のまま黒海造船工場に保管されることになります。
空母の所有権を巡ってロシアとウクライナの間で争いが起きますが、最期にロシア側が妥協し、ウクライナの所有物となります。
そこに中国の民間会社から購入の依頼が入ります。
当初は民間会社がこの未完成の空母を購入し、中国の海上でカジノ船として使用するという話でした。
しかし、後にこの民間会社は中国退役軍人がもつペーパーカンパニーだったことが判明します。
空母をウクライナから中国へ運ぶことは「モントルー条約」という国際法に違反するため、「空母ではない」ということにしたかったようです。
中国へ運ばれると空母として建造が再開されます。
2012年に就役し、現在も現役で活用されています。
ポンコツと言われている?
この遼寧という空母はポンコツだと言われることが多い軍艦です。
遼寧はソ連で「ヴァリャーグ」として建造され、ソ連崩壊により途中で建造がストップし、しばらくの間放置されていました。
建造再開の時点では、足りない部品のストックは既に無く、自分たちで作らなければならないという状態でした。
途中から建造するメーカーが変わるとなると、不具合が生じてもおかしくありません。
そういった事情もあり、遼寧は「能力不足」だと言われていました。
遼寧の訓練が初めて公開されたとき、「戦闘機を離着艦させるのが難しい」「戦闘機にミサイルを搭載すると飛ばせない」「空母としてはかなり遅い」など、散々な言われようでした。
しかし、遼寧が中国初の空母ということで、そのときはまだ扱いに慣れていなかっただけなのか、その後の公開訓練で「どうもポンコツとは言えないようだ」くらいにまで評価が上がっています。
また、遼寧のもととなった「ヴァリャーグ」と同種類の軍艦を、ロシアが何度も改造して強力な空母を開発しています。
ということは、もし遼寧が現在ポンコツであっても、ロシアの協力を得れば強力な空母として生まれ変わる可能性があるということです。