選挙が近づいて、白票という言葉が注目されています。
白票とは?
白票とは、投票用紙に何も書かずに、白紙のまま投票箱に入れる「白紙投票」のことです。
公職選挙法の68条の「記載したかを確認し難いもの」にあてはまり、無効票となります。
2019年の参議院選挙の際に、俳優の浅野忠信さんが「投票は白紙でもいいんだって」とつぶやいたことをきっかけに議論が巻き起こり、注目されるようになりました。
白票を投じる意味
白票を投じることについては、ほとんど意味はありません。
よく「投票する候補者がいないという意思表示になる」、「白票が増えると政治家が危機感を覚え、政治が変わるかもしれない」と言う意見がありますが、先程申し上げたように、白票は無効票として取り扱われます。
つまり、白票が〇〇%あったということ自体分からず、分かるのは「無効票がこれくらいあった」という事実だけです。
無効票の中には「字が汚くて読めない」といった投票者のミスもあれば、「立候補していない人の名前が書いてある」、「複数の人の名前が書いてある」、「単なる落書き」といったふざけて書いた様な票も含まれます。
白票もこういった票と同一の無効票としてカウントされますので、全候補者に反対という意思表示として汲み取ってくれることもないし、政治家が危機感を覚えることもありません。
白票で出しても、ふざけた落書きをして出しても扱いは一緒です。
なお、無効票の内訳を公表している地域もありますが、内訳の公表は義務ではありません。
投票の棄権との違い
投票の棄権とはそもそも投票に行かないことを指します。
白票を投じることと、投票を棄権することは、どちらも候補者の当選に影響がないという点では一緒ですが、投票率への影響が違います。
投票を棄権したら「投票」はしていないので、「投票率」は下がります。
白票は「投票」はしているので、「投票率」が上がります。
投票率が上がるということは、国民が政治に関わる割合が増えたということです。
投票率が上がれば政治家が「多くの国民の関与の中選ばれた」と大義名分を得ることになります。
中途半端に白票が増えると、政治家に危機感どころか自信を与えることになります。
1つ白票を投じることに意味があるとすれば、仮に白票などの無効票が急激に増えて、投票率が上がったのに、有効得票数が大幅に減ったとなれば「これはどういうことだ?」という問題提起にはなるかもしれません。
しかし、そこまでの事態を起こすには大量の白票がなければ出来ませんし、問題提起だけでそのまま無視されて終わってしまうおそれもあります。
白票を投じることはもちろん個人の自由です。
ですが、先人たちが苦労の末勝ち取った選挙権をその様な使い方で使っていいのかということをよく考えて行うようにしましょう。