大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、十三人の合議制が始まり、頼家が鎌倉殿となって政を行うようになりました。
すると、早くも跡継ぎ問題が浮上します。
この頃、頼家はまだ二十歳にもなっていません。
ですが、いつ何が起こるか分からないため、後の争いを防止するためにも跡継ぎは早めに決めておきたかったのでしょう。
この跡継ぎ問題で北条と比企が争って、後に「比企能員の変」という事件が起こることになります。
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ところで、源頼家の跡継ぎの話で出てくる名前は、ほとんどが幼名のため、誰のことを言っているのか分かりづらくなっています。
そこで、幼名で呼ばれている跡継ぎ候補は誰のことなのか、以下に簡単にまとめます。
一幡(いちまん)
一幡は、源頼家と若狭局(※ドラマでは「せつ」)の間の子供で、長男です。
幼少時に亡くなったため幼名しかなく、諱(本名)はありません。
彼は、源頼家の跡継ぎの最有力候補で、実際に頼家が危篤になった際、一幡に家督を譲ろうとしています。
しかし、それでは一幡の母親の出身である比企氏に権力が移ってしまうため、北条氏が反発。
「比企能員の変」と呼ばれる事件が起こります。
この事件で比企一族は滅亡。
一幡もこの事件の際に殺されています。
享年はわずか6で、頼家より先に亡くなってしまったため、跡継ぎにはなれませんでした。
なお、一幡を刺殺したのは、北条義時の郎党だとされています。
ドラマでは「トウと水遊びを致しましょう。」と連れて行かれるシーンが最後で、そのあと公式サイトの人物紹介で亡くなったことが明らかにされています。
千幡(せんまん)
千幡とは、源実朝のことです。
彼は第3代将軍になっていますので、最終的な頼家の跡継ぎは千幡といえます。
千幡は源頼朝と北条政子の子供で、頼家の弟にあたります。
頼朝が征夷大将軍に任命された年に生まれていますので、頼家が鎌倉殿となった当時、千幡はまだ8歳前後でした。
その後、12歳で征夷大将軍に任ぜられ、第3代鎌倉殿となります。
最期は鶴岡八幡宮参拝の際に、公暁に暗殺されて亡くなっています。
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享年は28だったと言われています。
善哉(ぜんざい)
善哉とは、源実朝を暗殺した公暁の幼名です。
源頼家の次男(または三男)とされ、母親は加茂重長の娘である「辻殿」(※ドラマでは「つつじ」)、または、一幡と同じ「若狭局」、もしくは「三浦義澄の娘」であるとされています。
父である源頼家が「比企能員の変」で失脚・暗殺された当時、善哉は5歳でした。
12歳で出家し、仏門に入ります。
その後18歳のときに鎌倉に戻り、鶴岡八幡宮の別当となります。
その2年後に実朝暗殺事件を起こします。
彼の享年は20でした。
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