ロシア軍がウクライナで軍事活動を行う目的として「ウクライナの非ナチ化」というのが挙げられています。
これは、ウクライナにいるとされる「ネオナチ」を政権から排除するという意味ですが、そもそも「ネオナチ」とは一体何のことでしょう?
ネオナチとはわかりやすくいうと?
ネオナチとは、ナチズムを復興しようという政治運動のことを指します。
ナチズムとは第二次世界大戦時代のドイツで圧倒的な支持を得ていた思想形態で、日本語では「国民社会主義」などと訳されます。
やや正確性を犠牲にして簡単に言うと、「民族を中心にして国家を一つにまとめ、社会を全面的に統制する」というような思想がナチズムです。
もともと「ナチ」という言葉は、「国家社会主義ドイツ労働者党」というドイツの政党に対する悪口として使われていました。
この国家社会主義ドイツ労働者党に入党し、頭角を現し、勢力を拡大させていったのがナチズムの代表人物とも言える「アドルフ・ヒトラー」です。
彼はドイツの首相に就任した後、「この地球は人種戦争の勝利者に贈られる持ち回りの優勝カップに過ぎない」と発言しています。
「最も優れた民族が世界を支配する」という意味です。
つまり、世界征服をしようとしています。
現在ナチズムが多くの国で排除されているのは、このような危険な思想に走ってしまう恐れがあるからです。
ウクライナの政党にネオナチ組織の関与は?
ウクライナの「ネオナチ」の政党
ウクライナには確かにネオナチの政党が存在します。
「スヴォボーダ(スヴァボーダ)」と言われる政党がそうです。
日本語では「全ウクライナ連合『自由』」と訳されることもあります。
議会でロシア語を話していた議員に対して「ウクライナ語で話せ」とヤジを飛ばし、乱闘騒ぎに発展させたり、クリミア併合の際ロシアのプーチン大統領が行った演説を放映したという理由でテレビ局を襲撃したりと過激な政党です。
この「スヴォボーダ」はウクライナの立法府である「最高議会」(日本でいう国会)にも議席をもっていました。
2012年の選挙では450議席中37議席を獲得し、ウクライナの第4党でしたが、その後大幅に議席を減らし2014年には6議席となっています。
2019年の選挙では更に議席を減らしているようです。
「得票率5%を超えなかった」と公式サイトで発表されていますが、何人当選したのかまで言及していません。小選挙区で一人当選したようですが、その一議席だけかもしれません。
ゼレンスキー大統領の政党「国民の僕」
現在、ウクライナの最高議会の第一党である「国民の僕(国民の奉仕者)」とネオナチとの関係は特に見られません。
この「国民の僕」は右派でも左派でもない中道政党とされています。
ナチズムは極右の思想と言われますので、党の思想としては隔たりがあります。
ちなみに「国民の僕」という政党名は、ゼレンスキー大統領が主演していたテレビドラマのタイトルからつけられています。
この2019年の選挙前は0議席でした。
というか、前回の2014年の選挙後、2017年に作られた新しい政党です。
その政党が初選挙で過半数の議席を取得しています。
党内に政策経験が豊富な人はほとんどおらず、大統領を含めて政治の未経験者が国の主要な機関を動かしていることになります。
もしかしたら、ロシアのプーチン大統領はそこを突こうとしたのかもしれません。
つまり、政治の素人が政権を握っているうちにウクライナを意のままにすることを狙っていた可能性があります。
もしそうだとしたら、その目論見は外れてしまったと言えそうです。