福袋を買って「中身が値段の割にひどすぎる」と思ったことはありませんか?
中身が値段に釣り合っていない場合、法律的に問題はないのでしょうか?
福袋の中身がひどすぎると違法?
結論から言うと、福袋の中身があまりにひどい場合、違法になる可能性があります。
福袋の表示と中身の相違は、不当景品類及び不当表示防止法(通称:景品表示法)という法律に触れるおそれがあります。
なお、表示と中身の相違は、価格や品質によって判断されます。
「自分の欲しい物が入っていなかった」という個人的事情では違法性の問題にはなりません。
景品表示法の問題
景品表示法では次のように規定されています。
(不当な表示の禁止)
不当景品類及び不当表示防止法 第5条
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
簡単に言うと、「〇〇円相当!」と書かれているのに、その中身の販売価格が著しく低い場合はアウトということです。
この「著しく」というのはケースバイケースで判断していくしかありません。
例えば、「1万円相当!」と書かれているから買ったのに、中身の価格が10円相当とかだったら流石に「著しく低い」といえます。
ですが、じゃあ「8000円相当だったら?」「5000円だったら?」著しく低いと言えるでしょうか?
基準が曖昧ですので、すぐに違法であるとか適法であるとかの判断は出来ないというのが実際のところです。
賭博罪(刑法)の問題
少し話がそれますが、もう一つ福袋に関連する法律問題として、「福袋は刑法で禁止されている賭博罪に当たるのではないか」という問題があります。
(賭博)
刑法 第185条
第百八十五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。
賭博とは「偶然の結果によって財物の得喪をやりとりする行為」のことです。
つまり、福袋の中身の価格が「福袋の販売金額以上と以下」に分かれている場合は賭博罪が成立してしまうおそれがあります。
ある人は福袋を買ったことで得をし、この場合店が損をします。
またある人は福袋を買ったことで損をし、この場合は店が得をしています。
この構図になってしまうと賭博の定義にあてはまってしまいますので、賭博罪が成立してしまうおそれがあります。
なので実は現在では、これを防ぐためにほとんどの店では「福袋の中身の価格が販売価格を上回る」ようにしています。
こうすればお客さんがどれを買っても特をすることになり、賭博行為にはあたらないからです。
また、「賭博行為」が成立しても「賭博罪」は成立しないこともあり、それが185条ただし書きにかかれています。
「一時の娯楽に供する物」をかけた時には「賭博罪」は成立しません。
これは例えば「罰ゲームで負けた人がジュースをおごる」というような行為があてはまります。
「一時の娯楽に供する物」とは何なのかということですが、これは具体的に規定されているわけではありません。
結局、福袋で賭博罪が成立するかどうかは、ケースバイケースということです。