大河ドラマ「どうする家康」の金ヶ崎の戦いでのこと。
お市の侍女・阿月が長い距離を走り抜け、家康に危機を伝えるシーンがありました。
かなり長い時間をかけて阿月にスポットライトがあたっていたため、彼女が気になった方も多いようです。
阿月という人物は実在したのでしょうか?
阿月は実在する人物?
残念ながら、阿月という人物は実在しません。
史実でモデルになった人も見当たりません。
おそらく、「阿月(あづき)」は「小豆(あずき)」からきているものと思われます。
朝倉攻めの際、お市の方は兄である織田信長に、「小豆が入った袋」を送ったというエピソードがあります。
この袋は両端が縛られており、信長が「袋のネズミ」状態にあることを伝えようとしたとされています。
少々分かりづらいですが、手紙では途中で見つかったら取り上げられるため、わざわざこのような表現で伝えようとしたとされています。
信長が「小豆」、浅井軍・朝倉軍が「縛られた袋の両端」ということで、信長が挟み撃ちにされそうなことを表現しました。
なお、有名なエピソードではあるものの、この話は後世の創作の可能性が高いとされています。
このエピソードをもとに、信長に浅井長政の裏切りを伝える役に阿月(≒小豆)という架空の人物を抜擢したのだと思われます。
阿月の死因は?
阿月は家康に伝言を伝えると、力尽きてしまいます。
どうやら、このときに亡くなってしまったようです。
しかし、彼女は敵に攻撃されたわけでも、大きな傷を負っていたわけでもないように見えました。
なぜ亡くなったのでしょうか?
阿月は、小谷城から家康の陣中まで10里以上を走ったことになっています。
この距離は約40キロメートルです。
ちょうどマラソンの距離と同じくらいなので、「マラトンの戦い」のオマージュではないかと言われています。
マラトンの戦いでは、「エウクレス」という兵士が、完全武装したまま42.195キロメートルを走り、「われわれが勝利した」と告げてそのまま絶命したというエピソードがあります。
阿月も、このエウクレスのように長距離を無理に走ったため亡くなってしまったものと思われます。
実際に、マラソン競技中に「急性心筋梗塞」で亡くなる方もいらっしゃるので、もしかしたら阿月もそうだったのかもしれません。