クリスマスにはサンタさんがプレゼントを良い子のところへ持ってきてくれます。
ですが、キリストの降誕を祝う日であるはずのクリスマスに、なぜプレゼントをもらえるのか不思議に思ったことはありませんか?
その秘密をご紹介します。
サンタクロースのモデルと由来
シンタクラース
サンタクロースのモデルは、「シンタクラース」という伝説の存在です。
見た目は、白く長いあごひげが特徴的な威厳のある老齢の男性だとされています。
白い僧正の衣服を身にまとい、赤いストールと赤いミトラ(司教が典礼の時にかぶる冠)を身に着け、白馬に乗ってやってきます。
彼は、「ズワルトピート」と呼ばれる従者を2人、地域の伝承によっては「クランプス」という魔物を連れています。
「ズワルトピート」はピエロのような衣装を身にまとった顔の黒い人間で、「クランプス」は悪魔にヤギの角が生えたような見た目をした怪物です。
シンタクラースは良い子と悪い子を見分けるための大きな赤い本を持っており、良い子にはシンタクラースがお菓子をプレゼントします。
ですが、悪い子にはお供の「ズワルトピート」や「クランプス」が罰を与えることになっています。
ムチや棒で叩かれたり、袋にいれて連れて行かれたり、と結構恐ろしめの罰を受けることとなります。
このシンタクラースのモデルとされるのが「聖ニコラウス」という人物です。
シンタクラースという言葉も「Sint-Nicolaas(シント・ニコラース)」から来ています。
聖ニコラウス
「聖ニコラウス」は、ローマ帝国のキリスト教の主教で、西暦270年頃から350年頃に実在したとされる人物です。
勤勉で慈悲深い人物であった彼は、弱い者を助けたという逸話が数多く残っており、キリスト教徒に聖人として尊敬され続けています。
その逸話の中に、「三人の娘を身売りしなければならなくなった家族の家に、聖ニコラウスが真夜中に窓(※煙突とも)から金貨を投げ入れた。その金貨のおかげで娘たちの身売りを避けることができた。」というものがあります。
なお、投げ入れた金貨は、偶然にも暖炉の前にかけてあった靴下に入ったと言われています。
この話が由来となり、「夜中にやってきて靴下にプレゼントを入れてくれる」というサンタクロースの話の原形ができたとされています。
クリスマスとの関係
サンタクロースのモデルとなったのは前述のとおり聖ニコラウスという人物ですが、それではなぜサンタクロースがクリスマスの夜にやってくるようになったのでしょうか?
聖ニコラウスの日
聖ニコラウスの命日は12月6日と言われています。
聖ニコラウスが貧しい家に金貨を投げ込んだ逸話に基づき、この日にプレゼントを贈る日とする風習がキリスト教圏の地域で広まりました。
12月5日の夜、子どもたちは暖炉の近くに靴を置き、その中にニンジンや藁を入れておきます。
これは、シンタクラースの乗る白馬に食べさせるためのものです。
翌朝起きると、靴の中にはニンジン・藁の代わりにお菓子やプレゼントが入っているとされています。
かなりクリスマスの風習に似ていますね。
現在でも国や地域によっては(宗派によっては)子どもたちは、クリスマスの朝ではなく、12月6日にプレゼントをもらいます。
聖ニコラウスの日の行事をクリスマスに
そしてこれもまた宗派によって異なりますが、この「聖ニコラウスの日」に行うプレゼントの行事を、時期の近いクリスマスに行うようになり、それが浸透して「クリスマスにサンタさんがプレゼントを持ってきてくれる」という現在のスタイルになりました。
これを提唱したのは「宗教改革」で有名なマルティン・ルターだとされています。
ルターはプロテスタント誕生のきっかけとなった人物です。
そのためプロテスタントの多かったアメリカなどでは、サンタクロースはクリスマスに来るものという風習が根付きました。
日本で行われるクリスマスは、アメリカの影響を強く受けているため、我々日本人には「サンタさんがプレゼントをくれるのはクリスマス」という風習が浸透しています。
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