ウクライナのゼレンスキー大統領が、イギリスやアメリカの申し出を断わり、ウクライナの首都キエフに留まる姿がこのところニュースで取り上げられます。
大変勇敢な決断だと感じる一方、「居場所が分かって危険ではないのか」という疑問も浮かびます。
ウクライナのゼレンスキー大統領は居場所を公表して危なくないの?
ゼレンスキー大統領はロシア軍にとっての一番の標的です。
ロシア軍がキエフに入ってゼレンスキー大統領の身柄を拘束すれば、この戦争はロシア軍の勝利となります。
そのため、アメリカやイギリスなどのウクライナを支援しようとする国々は、ゼレンスキー大統領を始め現ウクライナの首脳陣を国外に避難させようとしていました。
しかし、ゼレンスキー大統領はこれを拒み、キエフに留まると主張し、動画でキエフに居ることをアピールしています。
ロシア軍の一番の標的である大統領自身が、自分の居場所を公表するようなことをして危なくないのでしょうか?
もちろん、非常に危険です。
ですが、今やロシア軍も手を出しづらい状況が生まれています。
ゼレンスキー大統領は居場所が判明して狙われたりしないの?
ゼレンスキー大統領はこれまで何度も「私はキエフから逃げない」と動画を通して、自身が首都に留まっていることをアピールしてきました。
中にはウクライナの大統領府に居ることが分かる動画も投稿しています。
おそらくロシアは彼の居場所をとっくに把握しているはずです。
現に、「何度かゼレンスキー大統領の暗殺未遂があった」というような報道もされています。
ではなぜ、空爆やミサイルなどの大規模な攻撃で狙わないのでしょうか?
英雄に卑怯な手は使えない
それは、ゼレンスキー大統領が今や「祖国を守るため命がけで戦う英雄」と世界中から認識されたからです。
命の危険があるにも関わらず、イギリスやアメリカの勧めを断って首都に留まり続ける姿に心を動かされた人々は少なくありません。
この状態で「英雄」をミサイルや軍用機の爆撃で問答無用に狙撃してしまえばどうなるでしょう?
そうなるとおそらく、ウクライナの人々は降伏しなくなります。
逆にロシアへの恨みを強めることになり、ゲリラ戦なども始まって戦争が泥沼化してしまいます。
ロシア軍からみれば敵の大将は倒したはずなのに、次々反対勢力が現れ、終わりのない戦いに突入してしまうおそれがあります。
また、世界の中でロシアがさらに孤立を深める原因にもなります。
ゼレンスキー大統領が動画のなかで一貫してロシア側に求めているのは、戦闘行為の即時停止です。
つまり、戦争ではなく対話を望んでいます。
そんな相手を武力で制圧してしまえば、今後、ロシアは「そういう事をする国」だと世界が認識します。
信頼をなくし、世界からの孤立をさらに深めることになってしまいます。
危険なことに変わりはない
ゼレンスキー大統領が有名になってロシア側が手を出しづらくなったのは事実ですが、手を出せないわけではありません。
要は「ロシアがゼレンスキー大統領を攻撃した」とハッキリわからなければ、先程挙げた不都合は起こりません。
ミサイルなどの砲撃で狙われる可能性は低いものの、直接人が近づいて暗殺、捕縛をする危険性は依然高いままです。
また、キエフが陥落すれば「逮捕」という形でロシア側に連行されるのはほぼ間違いありません。
この場合、ゼレンスキー大統領は「戦争を起こした犯罪人」ということで処罰される可能性が高いです。
直近では「ロシアとウクライナの停戦合意が成立するかもしれない」という報道がなされています。
この情報が正しいことを願います。
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