北欧のフィンランドがNATO加盟申請を行うことを表明しました。
フィンランドは中立国としての立場を守ってきましたが、ロシア軍のウクライナ侵攻を受けて大きく方針を転換しています。
フィンランドとロシアについての詳細はこちらを御覧ください。
(関連記事:ロシアとフィンランドの関係)
同様にフィンランドの隣国、スウェーデンもNATO加盟申請を行う見通しです。
スウェーデンとロシアはどのような関係性にあるのでしょう?
スウェーデンとロシアの関係は?
スウェーデンはもともと今のフィンランドを支配していました。
当時はフィンランドを介してロシアと国境を接している状態です。
そのため、ロシアとは歴史的に何度も戦っています。
これらの戦争では主にフィンランドが戦場となりました。
最終的にはスウェーデンがロシアにフィンランドを割譲。
その後、スウェーデンは第一次世界大戦、第二次世界大戦ともに参加せず、長い間中立を守ります。
第二次世界大戦後は「NATO寄りの中立国」といった立ち位置です。
現在は、ロシアとは明確に敵対関係ではないが、親交の深い友好国でもないといった関係性です、
スウェーデンはどんな国?
スウェーデンの正式名称は「スウェーデン王国」ですが、国王は国の象徴としての儀礼的な職務のみをおこなう完全な民主主義国家です。
国土は日本より広いものの、人口は少なく、東京23区の人口くらい(約950万人)とされています。
外交政策として、1812年以降中立政策を取り続けています。
このため、第一次世界大戦にも第二次世界大戦にも参戦していません。
そういったこともあって調停役を務めることも多く、国連に対しても大きな貢献をしている国です。
スウェーデンは国連に積極的に関与しており、「国連の最大の貢献国の一つ」とも言われます。
スウェーデンとロシアの間の戦争
スウェーデンは今でこそ中立国ですが、ロシアが「ロシア帝国」だった時代に、2度ほど大きな戦争をしています。
第一次ロシア・スウェーデン戦争
一度目のスウェーデンとロシアの戦争は1788年に始まりました。
ロシア軍がフィンランドとの国境を越えてスウェーデンの守護兵士に攻撃を仕掛けたことで戦争状態に突入します。
なお、これは当時のスウェーデン王の自作自演、つまり偽旗作戦であったとされています。
この戦争中、ロシアはオスマン帝国、スウェーデンはデンマークとも戦うことになり、両国共に苦戦します。
最終的にスウェーデンがロシアのバルチック艦隊を撃破し、優位になったところで条約が結ばれます。
この戦争の実質的な勝利によって、スウェーデンは国際的な影響力を強くします。
第二次ロシア・スウェーデン戦争
二度目の大きなスウェーデン・ロシア間の戦争はナポレオンが関係しています。
当時、スウェーデンとロシアは「ナポレオン率いるフランス帝国」に対抗するための同盟国でした。
スウェーデン・ロシアの他、「プロイセン(現ドイツ・ポーランド)」「ザクセン王国(現ドイツ)」「イギリス」が参加したこの同盟軍は、ナポレオンに敗れて崩壊。
フランス帝国と和解します。
このとき、ロシアはフランスの提案に乗って「(当時)産業革命中のイギリスを封じ込めよう」という経済政策に参加します。
しかし、スウェーデン国王はこれを拒否。
フランスはスウェーデンをこの経済政策に引きずり込むためにロシアと同盟を結びます。
その後、フランスはスウェーデンと衝突するに至ります。
フランスの同盟国となったロシアはスウェーデン領フィンランドに攻め込みます。
フランスがスウェーデン攻めに積極的ではなかったため、結局はスウェーデンとロシアが戦うことになります。
この戦いにはロシアが勝利。
フィンランドはロシアに割譲されることになります。
このとき以降、スウェーデンは一貫して中立政策をとるようになり、それが現在でも続いています。
スウェーデンがNATOに加盟するということは、「この長い中立政策をやめる」という意味をもっています。
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