2022年7月25日に現在の参議院議員の約半分の議員が任期満了を迎えます。
このため、その任期満了日までに参議院通常選挙が行われることになります。
そこで、参議院通常選挙の仕組みをできるだけわかりやすくまとめたいと思います。
参議院通常選挙の仕組み
現行制度では、参議院通常選挙は「選挙区制(大選挙区制)と比例代表制の並立制」という仕組みをとっています。
一人の人間が重複して立候補することは出来ません。
選挙区制(大選挙区制)は、「一つの選挙区で複数名が当選する」という制度であり、比例代表制は「各政党が得た得票数に応じて議席が配分される」という制度です。
それぞれ少し詳しく記します。
大選挙区制
衆議院総選挙で採用されている「小選挙区制」では、一つの選挙区で一人が当選します。
これと区別するために、一つの選挙区で複数人が当選する仕組みを「大選挙区制」と呼びます。
仕組みは単純で、その選挙区で票を得た順に「あらかじめ決められた当選人数」までが当選するというものです。
2022年参議院通常選挙の「あらかじめ決められた当選人数」は次のとおりです。
- 東京都 → 6人
- 神奈川県・埼玉県・大阪府・愛知県 → 4人
- 北海道・千葉県・兵庫県・福岡県 → 3人
- 茨城県・静岡県・京都府・広島県 → 2人
- その他の県 → 1人
ほとんどの県で当選人数が1人ですので、衆議院の小選挙区制とあまり変わりがありません。
比例代表制
比例代表制は、「各政党が得た得票数に応じて議席が配分される」という仕組みです。
配分の仕方、計算方法は下記の「比例代表制の計算方法」を御覧ください。
なお、参議院の比例代表制で採用されているのは、「非拘束名簿式比例代表制」という制度です。
衆議院の比例代表制の仕組みは「順位の決められた候補者名簿をあらかじめ出しておき、各政党が得た得票数に応じて名簿順に議席が配分される」というものです。
参議院ではこの候補者名簿を提出する必要はあるものの、順位は決められていません。
「各政党の当選議席数に対し、候補者個人としての得票数の多かった者から順に当選者が決まる」というのが参議院で採用される非拘束名簿式比例代表制と呼ばれる制度です。
比例代表制の計算方法
比例代表制の計算はドント式という計算方法で行われます。
まずは次の表を御覧ください。
政党名 | A党 | B党 | C党 |
名簿登載者数 | 4人 | 3人 | 2人 |
得票数 | 900票 | 700票 | 400票 |
(割る数) 1 | 900① | 700② | 400④ |
2 | 450③ | 350⑤ | 200 |
3 | 300⑥ | 233.33… | |
4 | 225 | ||
当選者数 | 3人 | 2人 | 1人 |
まずは、各ブロックで名簿を提出した政党の総得票数をそれぞれ1.2.3.4.、、、と自然数で割っていきます。
上の表の(割る数)と書かれた部分ですね。
割り算が出来たら、割った後の数字を大きい順に並べます。
表では900÷1=900が一番大きく、700、450、400、350、300、233.3…、225、200、と続きます。
ここで定数を確認します。
上記の場合は定数6ですので、大きいものから順に①900、②700、③450、④400、⑤350、⑥300となります。
この数字を持っている政党に議席が与えられます。
① 900 、③ 450 、⑥ 300 はA党、②700、⑤350はB党、④400はC党の得票数を割って出した数字ですので、A党が3議席、B党が2議席、C党が1議席を獲得します。
このような計算方法で行われますので、比例代表制は小さな政党が議席を獲得しやすいと言えます。
参議院議員の任期の豆知識
ここからは余談です。
参議院議員の任期は6年です。
そのうち半数が3年ごとに改選されます。
衆議院のように解散の仕組みがありません。
ということは、現行制度では必ず西暦の3の倍数の年に行われます。
憲法が変わらない限り、参議院通常選挙は「寅年・巳年・申年・亥年」に必ず行われるということになります。
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