ロシアのラブロフ外相が「ヒトラーにもユダヤ人の血が流れている」と発言し、イスラエルから反発の声が上がっています。
ラブロフ氏としては、ウクライナ大統領のゼレンスキー氏もユダヤ系だということを念頭に、「だからといってナチスと関わりがないとは限らない」と言いたかったのでしょうが、この発言を巡ってロシアのプーチン大統領が謝罪する事態となりました。
謝罪はイスラエルのベネット首相に対して、電話会談の中で行われたとのことです。
この両国、ロシアとイスラエルの関係はどのようなものなのでしょうか?
ロシアとイスラエルの関係は?
ロシアとイスラエルの関係は、近年になってかなり改善され、プーチン大統領も親イスラエルよりの立場を取っていると言われています。
その昔、ソビエト連邦は第三次中東戦争とその後のイスラエルの政策に反発し、国交を断絶するところまでいきました。
1990年代になってようやくソビエトとイスラエルの国交が回復します。
その後、2000年代になるとプーチン大統領が就任し、「ロシアにとってイスラエルは特別な国である」という趣旨の発言をしています。
イスラエルにはロシア語を話す人も多く、プーチン大統領はイスラエルをロシアの同胞と考えているようです。
2014年のクリミア半島併合の際、イスラエルは国連で中立の立場をとりました。
その後のシリアへのロシア軍の介入によってもさらに関係が改善されています。
プーチン大統領はこの頃のイスラエルとロシアの関係を「無条件の同盟国」と表現しています。
ただし、イスラエルは外交において、アメリカ合衆国を最重要視しています。
アメリカの要請で「ロシアによるクリミア半島の併合」を非難するように、従来の立場を変更しようとする動きも見せています。(※結局変更はしませんでした。)
また、ウクライナ侵攻に関してイスラエルは、明らかな反対姿勢をとっており、ウクライナ市民への人道支援を明言しています。
ロシアとイスラエルの関係は良好であったものの、ウクライナ侵攻に関しては明らかに非難しているという状態です。
イスラエルは何故ヒトラー発言に怒ったの?
今回のラブロフ外相の発言の中には「ヒトラーはユダヤ人の血を持っていた」というものの他、「最大の反ユダヤ主義者はユダヤ人である傾向がある」というものもありました。
ヒトラーが率いたナチス党は、「ユダヤ人の絶滅」を目的にしていたと言われます。
ということは、ラブロフ外相の発言は、「自分たちの民族の中から自分たちの民族を滅ぼそうとする者が現れた」=「ホロコーストは自業自得だ」とも解釈されかねないものでした。
イスラエルは人口の7割以上がユダヤ人とされています。
この「ユダヤ人がユダヤ人を絶滅させようとした」という意味にもとれる発言にイスラエルが反発するのは当然と言えそうです。
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