アメリカのバイデン大統領はロシアに対し、ウクライナで生物・化学兵器を使用すれば「重い代償を払うことになる」とロシアを牽制しました。
アメリカ政府はロシアが生物・化学兵器をウクライナで使用し、偽旗作戦を行うのではないかと警戒を強めています。
偽旗作戦(にせはたさくせん)とは?
偽旗作戦とは、攻撃手を偽る、だまし討ち戦術の一つです。
昔、海賊が「降伏」の旗を掲げ、油断して接近した相手の船を乗っ取った戦法に由来しています。
偽旗作戦が使われた例として、満州事変のきっかけとなった「柳条湖事件」が挙げられます。
このとき、大日本帝国の関東軍は南満州鉄道の線路を爆破しました。
そして、この爆破を中国軍の犯行であると発表し、これを口実に満州に攻め入ることになります。
このように、「自国の軍が相手からの攻撃を受けた」と偽装してこちらが被害者であるかのように振る舞います。
すると世論は被害を受けた側に傾くため、反撃をする大義名分ができあがるという構造です。
ロシアはクリミア半島を併合した時も偽旗作戦を行ったと言われています。
ロシアが生物・化学兵器を使用する可能性
アメリカ政府は、最近になってロシアが「ウクライナで生物・化学兵器の開発が行われている」と主張し始めたことについて、ロシア自身がそれらの兵器を使うための「偽旗作戦」を実施しているとして警戒を強めています。
ロシアは日本時間の3月12日、国連の安全保障理事会で「ウクライナで生物兵器・化学兵器の開発・製造がアメリカの援助によって行われている」と主張しました。
この主張によって、ロシアは「ウクライナは生物・化学兵器を持っている」と世界に向けて発信したことになります。
この後、万が一ウクライナで生物・化学兵器が使われた場合、ロシアは「ウクライナ軍が使用した」と主張してくる可能性が高いです。
もし、ロシア軍がこれらの兵器を使用してウクライナ側に被害が出ても、「ウクライナ軍の誤射」あるいは「ウクライナ側が先に使ってきたため報復として同じ兵器を使用した」と生物・化学兵器使用を正当化する主張ができることになります。
アメリカ政府が「偽旗作戦」と呼んで警戒しているのは、こういう流れでロシア軍が生物・化学兵器を使用することです。
この布石のためにロシアはわざわざ国連安保理の緊急会合を要請したと見られています。
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