ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始したことを受け、日本政府はロシアに対して制裁を課すことを決めました。
目次
日本のロシアに対する制裁の内容(2月24日)
日本はロシアがウクライナ東部の親ロシア派が治める地域の独立を一方的に承認したことに対して、2月24日にロシアに対する制裁を発表しています。
その内容は次の3つです。
いわゆる2つの共和国の関係者の査証発給停止と資産凍結
いわゆる2つの共和国とは「ドネツク人民共和国(ドネツク州)」「ルガンスク人民共和国(ルガンスク州)」のことです。
そして、査証とはビザのことです。
つまりこの制裁の意味は、「ドネツク・ルガンスクの関係者にビザを発行することを停止し、資産を凍結する」ということになります。
いわゆる2つの共和国との輸出入の禁止
「ドネツク」「ルガンスク」との輸出入を禁止し、経済活動を縮小させるための措置です。
日本とウクライナの間では2020年時点で、輸出541.8億円、輸入568.8億円の取引があります。
この内にドネツク・ルガンスクが含まれているのかどうかということ、また、含まれているとした場合、ドネツク・ルガンスクの占める割合がどのくらいなのかということは不明です。
ロシア政府による新たなソブリン債の日本での発行・流通の禁止
「ソブリン債」とは「政府が発行または保証をする債券」のことです。
つまり、ロシアの国債を日本で発行・流通させることを禁止しています。
日本のロシアに対する制裁の内容(2月25日)
日本がロシアに対する最初の制裁を発表した直後にロシアのウクライナに対する侵攻が始まりました。
日本政府はこれを受けて、さらなる制裁を発表しています。
次の3つです。
ロシアの個人や団体へのビザの発給停止
前回の制裁では、ドネツク・ルガンスクの関係者に対してビザの発給を停止することとされていました。
今回の制裁で発給停止されるのはロシアの個人と団体に対してのビザです。
金融機関を対象とする資産凍結
金融機関に対象を絞っての資産凍結ということでしょう。
ロシアの関係者が日本に持っている銀行口座からお金を引き出したり振り込みしたりはできなくなります。
ロシア軍の関連団体に対する輸出や、半導体などの汎用品の輸出の規制
ロシアに対しての輸出を全面的に止めるというわけではなく、ロシア軍関連団体への輸出やロシアに対する半導体の輸出を規制します。
「ロシア軍の武器や資源となりそうな物資の供給のみを止める」という意味だと考えられます。
日本のロシアに対する制裁の効果はどれくらいあるのか
以上に挙げた日本のロシアに対する制裁の効果はどのくらいあるのでしょうか?
まず、この制裁にはロシア軍の侵攻を止める、もしくは躊躇させるような効果はほぼありません。
ロシアの人や団体が日本で経済活動をやりづらくなるという性質の制裁ですので、ウクライナに攻め込んでいるロシア軍を止めるような要素はないものと思われます。
「ロシアが日本で経済活動を行うこと」がロシアの死活問題であると言うなら話は別ですが、そんなことは全然ありませんので、この制裁でロシアが躊躇することもないでしょう。
日本は強く出られない?
日本政府としては、あまり強い制裁を課すわけにはいかないと考えているようです。
日本はロシアに対して強く出られないというのが、この制裁の内容を見てもわかります。
日本には正式な軍隊も核もありません。
これまでは、「アメリカなどの同盟国が有事の際に日本を助けてくれる」という期待がどこかにありましたが、ウクライナの状況を見ていると「どうもそうはならないかもしれない」との疑問が多くの日本人の中で湧いたのではないでしょうか?
「ロシアに目をつけられると、ウクライナの二の舞になってしまう」という意識が芽生え、日本としてはロシアにあまり強い態度を取れなくなっているように見受けられます。
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