新選組副長土方歳三を主人公とした司馬遼太郎原作の小説「燃えよ剣」が映画化され、2021年10月15日に公開されました。
映画「燃えよ剣」のあらすじと内容をご紹介します。
※ネタバレがありますので、映画をまだ見ていないという方はご注意下さい。
映画「燃えよ剣」のあらすじ
新選組副長である土方歳三の人生を、青年期から最期まで描いている作品です。
五稜郭で新政府軍との最後の戦いを控えた土方歳三が過去を邂逅する形で物語が進みます。
土方は自身を「バラガキ」と呼び、武州のバラガキがこれまでどうやって生きてきたかをインタビューに答える形で話していきます。
ちなみに「バラガキ(茨掻き)」とは、イバラのように触れると怪我をするような人物、またはイバラに突っ込んでいくような向こう見ずな人物という意味で、実際に土方歳三のあだ名(子供の頃)でもあります。
土方の青年時代
近藤勇、土方歳三、沖田総司、井上源三郎の4人が隣村の農民と喧嘩をするところから回想が始まります。
彼らの流派「天然理心流」が道場では弱いが、実際の喧嘩ではめっぽう強いということを大人数の隣村の農民を4人で倒すことで示します。
その後、近藤が試衛館という道場を継ぎ師範となり、後に新選組の幹部となる山南敬介、永倉新八、藤堂平助、斎藤一、原田左之助らが集まってきます。
新選組結成
彼らは時代の流れに乗って京都へ出向き、そこで将軍警護の募集に参加します。
しかし、その募集は清河八郎という人物が仕掛けた策であり、浪士達は将軍警護のためではなく、天皇配下の兵とするために募集されたということが発覚します。
土方ら試衛館メンバーと水戸の芹沢鴨の一派は、あくまでも自分たちは将軍警護のために働くと清河の策には乗りませんでした。
土方達は会津藩主の松平容保に召し抱えられ、壬生浪士組(後の新選組)を結成します。
当初筆頭局長は芹沢鴨でしたが、素行の悪さから松平容保の怒りを買い、土方・沖田らの手によって暗殺されます。
これによって近藤勇を頂点とする新選組が誕生します。
土方は副長になると、「局中法度」という非常に厳しい掟を作り、隊の規律を厳格にします。
さらに指揮系統が明確で上意下達が鉄則の西洋軍隊式の組織を作り上げ、京の街に潜む不逞浪士たちを次々と切り捨てていきます。
池田屋事件
そんな中、長州などの志士たちが御所を襲うというとんでもない計画を画策をしているという情報を手に入れます。
密偵を使って情報を得た新選組は、池田屋で宮部鼎蔵を始めとする攘夷志士たちを一網打尽にします。
池田屋には近藤を始めとする数名のみが乗り込み、土方ら多くの隊士は別の場所をあたっていました。
途中、池田屋に攘夷志士たちがいることを聞いた土方は、すぐに駆けつけると池田屋の周りを囲むように支持を出し、新選組だけで攘夷志士を抑え込みます。
これにより池田屋事件の手柄は新選組だけのものとなり、新選組の名が広く知られることとなりました。
戊辰戦争
時代が進むと天下の情勢に変化が訪れます。
風前の灯火であった長州藩が息を吹き返し、それどころか犬猿の仲である薩摩藩と手を結び、幕府に立ち向かって来ました。
弱体化した幕府は追い詰められ、将軍徳川慶喜は大政奉還を宣言します。
幕府は朝廷に政権を返上しましたが、それで平和的に解決とはいかず、薩長と幕府の戦が勃発します。
土方ら新選組は最後まで幕府につくことを決め、錦の御旗を掲げた新政府軍と戦うことになりました。
鳥羽伏見で彼らが死闘を繰広げている間に、大将である徳川慶喜は江戸へ逃げのびます。
作中ではここに大将が兵を率いて援軍として来ていれば充分勝てる戦であったと土方が述べています。
(この映画の徳川慶喜はちょっとヘタレキャラです。)
その後、旧幕府側は劣勢になり、各地を転戦します。
途中、近藤勇は土方の説得を振り切り新政府軍に投稿しますが、斬首に処されてしまいます。
直後に療養中の沖田総司も結核で命を落とします。
昔からの仲間を失ってなお、土方は旧幕府軍に付き従い各地を転戦します。
五稜郭の戦いへ
ついに北海道に舞台は移り、回想が終わってインタビューに答えていた、軍服姿で髷を切った姿の土方の時が動き始めます。
庭で写真を撮ると、最後の手紙を兄夫婦に届けるよう部下に託し、最後の戦いに挑みます。
土方は馬に乗り、ピストルを構えて馬上から突撃の指示を出します。
混戦となりますが、しばらくすると場面が変わり、新政府軍が守備を固めた砦に単身馬に乗って向かう土方の姿が映し出されます。
土方はボロボロでもはや満身創痍といった風体です。
ゆっくり馬で砦に近づく土方に、敵の将が問いかけます。
「止まれ。何をしに来た。」
土方はその問いに答えます。
「ここの大将に会いに来た。」
敵はさらに問います。
「お前は何者だ。何のために大将に会う。」
土方は答えます。
「俺は新選組副長土方歳三。俺が大将に用があるといえば決まってる。」
そう言って剣を抜き放ち、砦に向かって突撃を開始しました。
(※セリフはうろ覚えです。)
敵は一斉に銃を発射し、ついに土方は討たれてしまいます。
ラストは映画の一番最初のシーンで映った石畳の上を土方の遺体が運ばれていき、そこに桜が舞うというシーンで終わりました。
燃えよ剣の感想
「バラガキ」のまま生涯を貫いた土方歳三のブレない生き方が描かれていて、とてもかっこいい映画です。
演出もよく、最初の石畳のシーンが最後のシーンとつながっていることを発見した時は感動しました。
キャストも合っていて、主演の岡田准一さんはもちろん、近藤勇役の鈴木亮平さん、沖田総司役の山田涼介さん、井上源三郎役のたかお鷹さんは特にハマっています。
源さんとか妙に源さんっぽいです。
主演の岡田准一さん演じる土方歳三はやはりかっこいいです。
「バラガキ」「カタチが良くない」という所々で出てくるセリフは真似したくなります。
それから山崎烝役の村本大輔さんが結構いい味を出しています。早口の関西弁でまくしたてるようにしゃべるキャラが殺伐とした雰囲気の中で、いいアクセントになっています。
藤堂平助をはんにゃの金田さんが演じられているのは意外でした。剣豪にしては細身に見えます。
あとは山南敬介がメガネをかけていて、この時代にこういうメガネはあったのか?山南さん本当にメガネしてたのか?と気になってセリフが入ってこないことがあります。
全体的に楽しめるいい映画なのですが、まだ見ていない方は展開がとても早いことをご承知おきください。
特に幕末や新選組にあまり詳しくない方にとっては、少し話の把握が難しいかもしれません。
一度大河ドラマの「新選組」を見た上で映画を鑑賞した方が「イマイチよくわからなかった」という状態になるくらい次々と展開していきます。
事前にある程度新選組に関する情報を仕入れてご覧になることをおすすめします。
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