初夢に見ると縁起がいいとされるものに「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」というものがありますが、実はこの続きが存在します。
一富士二鷹三茄子のつづき
四扇五煙草六座頭
「しおうぎ」「ごたばこ」「ろくざとう」と読みます。
「扇」はそのまま扇のことで、「煙草」もあのタバコのことです。
「座頭」とは江戸時代にあった目の見えない人につけられた階級の1つのことです。
江戸時代は今と違って社会保障の制度などが発達していなかったため、身体に障害がある人をその障害ごとに組合にまとめ、その組合に独占的な職業を許可する形で彼らの経済的な保護を図っていました。
目の見えない人は主に演奏や作曲、按摩・鍼灸を主な職業としていました。
そのためこの言葉が出来た当時のイメージで言えば、「座頭」は「按摩師」を指します。
一番目に富士山、二番目に鳥の鷹、三番目になすび、それに続いて四番目に扇、五番目にタバコ、六番目に按摩師というのが、初夢で見ると縁起がいいとされているものです。
ちなみに「七丁髷(ちょんまげ)、八薔薇(ばら)、九歌舞伎(かぶき)」と続けることもあるようですが、これは後付けである可能性が高いとされています。
初夢の縁起物の意味
「1富士、2鷹、3茄子、4扇、5煙草、6座頭」は何故初夢で見ると縁起がいいとされているのでしょうか?
これには多くの説があって起源の特定はできませんが、有名なものを紹介します。
「一富士二鷹三茄子」に関しては次のような説があります。
- 富士は日本一の山だから、鷹は賢くて強い鳥だから、なすは「成す」に通じるから
- 富士は「無事」、鷹は「高い」、なすは「成す」に通じるから
- 単純に徳川家康が好きなもの3つ
- 徳川家康の出身地「駿河国」で高いもの(富士山、愛鷹山、初茄子の値段)
- 日本三大仇討ちに関係があるもの3つ(曾我兄弟の仇討ち・忠臣蔵・鍵屋の辻の決闘)
※曽我兄弟は富士山の裾野で仇討ち、忠臣蔵の主君浅野家の家紋が鷹の羽、「鍵屋の辻」がある伊賀の名産品が茄子。 - 富士山は末広がりの形をしており繁栄を意味し、鷹は上昇するので運気上昇を表わし、茄子には毛がないので「怪我ない」に通じ家内安全を意味する
「四扇五煙草六座頭」に関しては、上記6に対応しているという説が有力です。
富士山も扇もともに末広がりの形をしていますし、鷹も煙草の煙も上昇します。
座頭は「江戸時代の目の見えない按摩師」のことですが、彼らの多くは剃髪をしており髪の毛がありませんでした。
茄子も座頭も同じく毛がない(→怪我ない)という共通点があります。
初夢はいつ?
初夢は言葉だけ見ると新年最初に見る夢のように思えますが、必ずしもそうではありません。
新年最初の夢ならば、大晦日から元旦にかけての夢が初夢となりますが、現代では1月1日の夜から2日にかけて、もしくは2日の夜から3日にかけて見る夢が初夢とされることが多いです。
これは地域、または家庭などによっても異なるようで、ハッキリと何日に見る夢が初夢なのかということは定まっていません。
大晦日から元旦にかけての夢が初夢ではないとされる理由は、「大晦日に眠らない風習が出来た」ことが大きいとされています。
除夜の鐘を聞いて、その後初日の出を見ようとすれば、短時間で起きられる人以外は徹夜をすることになりますので、その日は眠らず夢も見ないということになります。
なので1日の夜から2日の朝に見る夢が初夢とされるようになりましたが、その後、江戸時代後半になると2日の夜から3日の朝にかけて見る夢が初夢というように変化していきました。
このあたりの変化の理由は分かっていません。
明治時代になって「1日から2日派」が増え、現在では「1日から2日派」と「2日から3日派」で分かれています。
ハッキリと日にちが決まっているわけではないので、ご両親やおじいちゃんおばあちゃんに「初夢を見る日」と教えてもらった日を「初夢の日」と考えて、その日にいい夢を見られるようにいい気分で眠りにつきましょう。
コメント