ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナのゼレンスキー大統領が、EU加盟を正式に申請したとの報道がされました。
ウクライナがEU加盟をこのタイミングでする意味は?
ウクライナがロシアから軍事侵攻を受けているこのタイミングでEUに加盟申請をする意味は、もちろんEUからの支援を期待してのことだと考えられます。
ウクライナは現在、大国ロシアと真っ向からぶつかっています。
また、他国の明確な支援もほとんどない状態です。
今現在は奮戦しているとはいえ、追い詰められた状態です。
EUはNATOのような軍事同盟ではありませんが、進展を遂げていく過程で経済だけでなく安全保障の協力も深めてきた組織です。
「EUに加盟しているもののNATOには加盟していない国」も複数あり、この国々の安全保障をEUがカバーしているといった側面もあります。
ウクライナが加盟すれば、まさにこれにあてはまり、EUによる軍事支援にも期待が持てることになります。
EUの加盟申請から承認まではどのくらい?
通常、EUの加盟にはかなり時間がかかります。
通常であれば、加盟申請から正式な加盟まで、少なくとも数年はかかります。
直近でEUに加盟したのは2013年のクロアチアですが、クロアチアは2005年から加盟交渉を始め、正式加盟まで8年ほどかかっています。
クロアチアの場合は「ある将軍の引き渡し問題」などの特殊事情で交渉が進まなかったという経緯がありますが、それを差し引いてもEU加盟には時間がかかるのが通常です。
2016年に加盟申請を行ったボスニア・ヘルツェゴビナもいまだ正式に加盟できていません。
ですが、今回のウクライナに関しては戦時中という特殊な事情があり、フォンデアライエン欧州委員長も「ウクライナをEUに迎え入れたい」と発言していることから、なんらかの特別な措置がなされる可能性はあります。
ロシアの反応は?
ロシアはもちろんウクライナのEU加盟に猛反発しています。
もしウクライナのEU加盟が実現すれば、ロシアはウクライナだけではなくEUと敵対することになるからです。
ロシアとしては小国のウクライナだけが相手と思っていたのに、EU全部が敵にまわってしまったとなればたまったものではないでしょう。
両者の溝を深め、場合によってはEU諸国とロシアの戦争に発展してしまうおそれすらあります。
そうなればおそらくNATOも動かさざるを得なくなります。
NATOにはアメリカやカナダなどの非ヨーロッパの国も含まれます。
特にアメリカが軍事介入すれば、それはもう世界大戦です。
ロシアの側には中国がついていますし、隣国を巻き込んで戦火が広がるおそれが十分にあります。
これ以上、戦闘が大きくなることなく、できれば停戦の合意で決着がつくことを祈るばかりです。
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