ロシア軍の侵攻が続くウクライナで「チェチェン共和国の独裁者カディロフ首長」が姿を現し、ウクライナ政府に向けて演説をするシーンがありました。
このカディロフ首長とは何者でしょう?
チェチェンの独裁者カディロフ首長とは
チェチェンの独裁者カディロフ首長とは、現在のチェチェン共和国を支配しているとされる人物です。
チェチェン共和国はロシア連邦を構成する「連邦構成主体」に位置付けられています。
世界地図でみると、ロシアの西の端、ジョージアの北あたりの黒海とカスピ海に挟まれた場所にある、日本の四国ほどの面積の共和国です。
18世紀、ロシアが「ロシア帝国」という国だった頃、激しい戦いの末にロシアに併合された国です。
併合された後もチェチェンは何度もロシアと対立を繰り返していました。
そんな中、2007年にプーチン大統領の強い後押しを受けてチェチェンの大統領に就任したのがカディロフ氏です。
彼はロシア政府との緊密な関係を後ろ盾に、チェチェンの人々を独裁的な方法で弾圧し、支配していると言われています。
長く弾圧を続けられてきたため、チェチェンの人々は反露感情が高く、ロシアからの独立を望む声が数多くあります。
対するロシアは西側諸国との関係もあり、チェチェンの独立を「絶対に譲れない一線」と捉えています。
「独立したいチェチェン」を「独立を絶対阻止したいロシア」が力で抑え込む、そのためにロシアが選んだ人物がカディロフ首長というわけです。
プーチン大統領の「子飼い」と言われる人物
カディロフ首長はプーチン大統領に対してかなりの忠誠心を寄せている人物です。
もともと「チェチェン共和国の首長」は「チェチェン共和国大統領」という肩書でした。
カディロフ氏は就任当時「チェチェン共和国第3代大統領」でした。
ですが、就任後3年ほど経った頃、「国に大統領は一人だけでいい」と主張し始めます。
つまり、「ロシア内で大統領を名乗る事ができるのは、プーチン大統領だけだ」という主張です。
そして自身の役職を「首長」と変え、自身がプーチン大統領の配下であることをアピールします。
プーチン大統領側もカディロフ首長を重用しているらしく、「ロシア連邦英雄」というロシアで最高の称号を彼に授与しています。
このようにプーチン大統領と強い主従関係で結ばれたカディロフ首長は、今回のウクライナ侵攻についても全面的に支持をしており、ウクライナへの軍隊の派遣も行っています。
私兵「カディロフティ」
カディロフ首長は「カディロフティ」という私兵を有しています。
カディロフティは私兵ですが、その規模は2万人以上とされ、チェチェン共和国を事実上統治していると言われています。
カディロフティは、殺人・誘拐・拉致・拷問などの残虐な行為を行う他、強盗・身代金の要求などの犯罪を行う軍隊として人権団体から批判されています。
このカディロフティが、今回のウクライナ侵攻に関わっているという情報が入っています。
具体的には、ゼレンスキー大統領の暗殺未遂、ザポリージャ原発攻撃に関わったとのことです。
ザポリージャ原発攻撃に加わった部隊の詳細はわかりませんが、ゼレンスキー大統領暗殺部隊は返り討ちにあい、全滅したとされています。
また、キエフ近郊の「ホストーメリ空港」の攻撃にも参加しており、この戦いでウクライナ軍の激しい反撃によって司令官を含む一部隊が殲滅されたと言われています。
戦闘能力自体はそれほど高くないようですが、「常識の通用しない残虐部隊」という評判が立つくらいですので、ロシアが制圧した地域でこのカディロフティが残虐行為を働かないか懸念されます。
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