ロシアによるウクライナ侵攻が起きた際、国連安保理で「ロシア非難の決議案」が提出されましたが、中国はこの決議への投票を棄権しました。
世界各国でロシアの軍事行動を非難する声があがる中、中国は大きく否定も肯定もせず、見守り続けているといった印象です。
ロシアと中国の関係とはどのようなものなのでしょうか?
ロシアと中国は仲が良いの?
現在のロシアと中国の関係は比較的良好です。
2016年に行われたロシアの世論調査で中国は「最も信頼できる国」に選ばれています。
(なお、次点は日本でした。)
ですが、「ロシアが何をやっても中国は味方になる」というほど緊密なわけではありません。
旧ソ連の時代には国境を巡って衝突するなど、対立していた時期もありました。
関係が改善されたのはソ連が崩壊し、ロシア連邦が設立したころからです。
現在、ロシアと中国の間には、「中露善隣友好協力条約」という条約が結ばれています。
この条約は2001年に20年の期限付きで結ばれ、2021年に延長されました。
平和・経済・外交・軍事関係などが盛り込まれており、お互いに協力できるところは協力しましょうというような条約です。
両国とも中央集権型の国家であるため、お互い属国のような関係性にならないように警戒しています。
ベッタリとくっつかないけど、利害が一致するところでは協力するというのが中国とロシアの関係性です。
なお、この条約の中で「ロシアは台湾を中国の一部であると認め、中国と台湾の統一に協力する」としています。
ウクライナ侵攻への中国の反応は?
ウクライナ侵攻が始まってしばらく中国は明言することを避けてきました。
国連安保理で「ロシア非難の是非」を問われた際も、「棄権」という形で意思をはっきり表明していません。
侵攻開始から2週間が経つころになって、「ウクライナ情勢を憂慮している」「戦争ができるだけ早く停止することを期待する」とし、停戦協議を支援する事が重要だとの立場を示しました。
これまで曖昧な態度をとって来たのは、中国もウクライナ侵攻は短期で終わると考えていたからだと思われます。
予想外に長期化したので、何らかの立場を示さなければならなくなったのでしょう。
中国は、ロシアの敵に回りたくないけれど、ロシアを表立って支援すると国際社会からの風当たりが強くなってしまうという難しい立場に立たされている状態といえます。
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